この作品が長編作品のデビュー作だったらしいです。
2009年の東京国際映画祭で上映され、なんと!監督とミケーレも初の来日を果たし、
会見や観客とのティーチインに参加していたとは・・・。
この頃はまだ存在を知らなかったとはいえ、知ってしまうと何とも残念な限りです。
冬のヴェネツィアが舞台。大学入学の為にヴェネツィアにやってきたカミッラ、
同じくヴェネツィアにやってきたシルヴェストロが
水上バスで出会ったところから物語は始まります。
人懐っこいシルヴェストロと真面目なカミッラは、
いつしか何でも話し合える「親友」になっていくのですが、
シルヴェストロは実はカミッラに恋心を抱きつつも、
それを言い出せずいい友人でいようとします。
かやたカミッラは自身の文学の研究の為に、
ロシア留学をしそこで知り合った教授と同棲をはじめます。
そこへ遠路遥々カミッラに逢いに行ったシルヴェストロは彼女の変貌ぶりに戸惑い、
失望しケンカ別れしてしまい、暫く二人は疎遠に。カミッラはロシアでの生活を終え、
ヴェネツィアに戻ってきますが、ある出来事をキッカケに
また二人はケンカ別れをして再び疎遠に。
そこでも、お互いに自分達の気持ちをはっきりと伝えられないまま(特にシルヴェストロ)
そして、カミッラが二人の共通の友人の一人と結婚する、
と本人から告げられたシルヴェストロはついに自身の思いをカミッラに告げるのですが、
時既に遅し。
カミッラは結婚し子どもにも恵まれ幸せに暮らしているものと思っていたシルヴェストロは、
彼女が故郷に帰ってしまった事を、カミッラの夫から聞き彼女の故郷へ向かうのですが・・・。
出会ってから10年、それぞれが気持ちを隠したまま(特にシルヴェストロ)すれ違いや、
それぞれの人生の経験(主にカミッラ) を積み、大人になってやっと向きあえた2人。
その10年をヴェネツィアの冬の風景と共に綴っています。
冬のヴェネツィア・・・寒そうです。なんとなく温暖なイメージがありますが、
ひんやりとした空気が伝わってきます。そして作品の中盤で登場するモスクワ、
ここは言うまでもなく本当に極寒の地。
シルヴェストロが味わう孤独感が一層寒さを感じさせました。
ミケーレのインタビューでは、モスクワよりヴェネツィアの方が寒くてどうにかなりそうだった、
と言っていますが、南の出身のミケーレにとってはどちらも耐えがたい寒さだったようです。