■あらすじ
海辺の岸壁に一人の男性が海へ飛び込もうかどうしようか迷っているところから
この映画は始まる。既に飛び込んでいた親友と恋人は、早く飛び込むように
促して遂に決心しやっとの思いで崖から美しい海へ飛び込み3人は美しい海へ。
1985年、26歳の新聞記者ジャンカルロ・シアーニ。
決して熱血漢タイプの記者ではないけれど、真実を知りたい、書きたいという
思いから同僚で親友のリコと共にナポリに蔓延る社会の不正や腐敗を追っていく。
そうするうちに悪名高きナポリの犯罪集団カモッラと、政財界の癒着に切り込む
ようになっていく。次第に彼の名前も知られるようになり、
ジャンカルロを利用しようとするもの、邪魔に思ってくるものなどが現れ、
彼自身の環境も少しずつ変化していく。
地道に重ねた取材のおかげでナポリの大きな新聞社へと転身を遂げるが、
そこから徐々に不穏な空気が流れ始める。
順風満帆に思えた記者人生が、彼の真実を暴こうとする姿勢を快く思わない
犯罪集団カモッラによって暗殺されてしまう。26歳の若さだった。
■混沌としたナポリの80年代
この映画は実際に起こったジャンカルロ・シアーニさんの暗殺事件がベースです。
80年代のナポリの混沌とした社会、すぐそこにある犯罪や事件と
知らず知らずのうちに巻き込まれてしまう事件で簡単に命を落とす街の若者達。
そういった負のスパイラルの元凶となっているマフィアや犯罪集団カモッラと
政界の不正、汚職。
私はよく知りませんでしたが、この犯罪集団カモッラはマフィアと似た組織で、
ナポリを中心に誕生し、組織化されていった犯罪集団との事。
2008年の映画「ゴモラ(Gomorra)」でこの組織の様子を詳細に描いているようです。
2008年のカンヌ映画祭のグランプリを獲得した作品です。
真実を知ろうとした新聞記者であるジャンカルロ・シアーニさんが、
無残にも殺害されてしまう社会、なんともやり切れないです。
■ファッションは80年代
80年代半ばが舞台なので、パソコンの普及もやっと。記者達はタイプライター。
レコーダーではなくメモ書き。携帯電話はショルダーフォン?
そしてファッション・・・なんとなく70年代を引きづっているのでしょうか、
男性達は大きな口ひげ、大きく開いたシャツの胸元・・・
どこか昭和の香りがするナポリの街。
当然ミケーレも80年代ファッションで登場。モッシャモッシャのヘアースタイル、
大きくはっきりした口ひげ(フランク・ザッパを参考にした?)、ド派手なシャツなど
ラテンな雰囲気を醸し出しています。
■ミケーレはというと・・・
ミケーレは同僚で親友のリコ役。
麻薬常習者で、取材中に関わらずお手洗いでヤクを打ち、
ふら付きながら取材をしたり、遂にオーバードース寸前で街中で倒れてしまい、
ジャンカルロに助けられますが、友情を断ち切られてしまいます。
結局、記者を辞めて更生を誓い法律の勉強をするために
大学院へ戻る決心をするのですが、それを伝える晴れ晴れとしたリコの表情と、
リコの決意を喜ぶジャンカルロの表情が、結末が分かっているだけに辛いシーン
となってしまいました。
FORTAPÀSC
2009年制作
時間:108分
監督:マルコ・リージ
出演:リベロ・デ・リエンツォ、ヴァレンティーナ・ロドヴィーニ、ミケーレ・リオンディーノ
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リベロ・デ・リエンツォさんも素敵な俳優 |
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取材はいつも一緒 |
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真実を追求して行こうとするけれど・・・ |
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取材中であっても麻薬が離せない |
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右腕に着用のはミサンガだと思ったら・・・図上 |